今月より月刊誌「理念と経営」の記事についての設問に対する回答を毎週提出し、毎朝のグループ朝礼で発表するという新たな取組に対して、みなさんがしっかり向き合ってくれていることをたいへんうれしく思います。
みなさんにはたいへん失礼になりますが、始める前には不真面目な回答や場合によっては提出もせず、というようなことがあるのではないかという心配がありました。ところが始めてみれば、みなさんからしっかりとした回答を受け取り、とてもとてもありがたい予想外れとなりました。自社の社員を信用していないダメ社長だなとつくづく反省です。
みなさんの回答はしっかり読ませてもらってます。新たな発見や気づきがあり、とても興味深く楽しいです。私からのコメントバックは十分に書ききれませんが、その点はご容赦願いたく、ご理解お願いします。
私の感想と気づきを何点かお伝えします。
まずわが社は大きく製造関係担当者と営業部門担当者とに分かれますが、それぞれに注目する視点の傾向が明らかに違います。製造部門はやはり技術的な面や品質面につながるところに注目が集まり、営業部門は販売やマーケティング的なところに意識が向けられています。これは当然のことですが、そこには強みと弱みがあるように感じます。強みは自社にて一貫して製造販売していることは、製販が一体となり協力体制を築けば、大きな付加価値が確保できることです。大手メーカーの下請け企業であれば、高度な技術を有していたとしても、工程の管理方法は親会社に握られ、自社で売値を決められない場合が多くあります。
また流通業のように他社が作ったものを販売するだけの会社であれば、よほどのことがないと大きな粗利を確保することがむずかしい場合が多いと言えます。その点、自社で作り、価格を決めることができることは、大きな付加価値と粗利を手にすること可能性を多く持っていることは強みといえるでしょう。
一方、弱みと感じることは、製造と販売は仕事の性格が異なるために、放っておくと両者の距離がどんどん離れていくことです。営業が「品質が悪いから売れないんだ」と言えば、製造は「営業力が無いからモノがよくても売れないんだ」と責任を押し付けあっていては、よい結果成果が生まれるわけがありません。やはりお互いの理解を深め、各々の苦労を理解しあい、情報交換を密にしてお客様に向き合っていくには、謙虚に現実を見て改善を重ねていく努力が必要になってきます。
弱みを克服して、強みを発揮していくには日々の仕事にまじめに向き合っていくことはもちろん、物事を深く考える力、お互いを慮る力、そして様々な人に助けられて自分の仕事や生活が成り立っていることに気づく力、それに感謝できる力などを身につけることが、とても重要な条件になってきます。
今期はなぜグループ朝礼や環境整備活動、改善提案に重点的に力を入れていくのか。一見、普段の仕事を向上させることと直結しないと感じるかもしれません。その時は1月号の栗山英樹監督の記事をもう一回読み直してください。
やはり「人間力」という土台がしっかりしていないと、その上に築かれていく「仕事力」が高くは積み上がっていかないのです。基礎が弱ければ、その上に積み上がるものが少し重くなれば、すぐに倒壊してしまいます。でも人間力さえあれば優秀な企業になれるかといえば、決してそうではありません。しかし優秀な企業の人々はみんな優れた人間力を備えています。さらに厳しくなる世の中で活躍していくには、人間力は必要条件になのです。毎日少しづつ人間力を強くするためにも、みなさんからのますます楽しい回答をお待ちしています。