MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

帝京大学ラグビー部に学ぶ

 理念と経営12月号の巻頭対談でソフトバンクホークスの元監督・工藤公康氏と帝京大学の前ラグビー部監督・岩出雅之氏の記事がありました。

 みなさんもご存じのとおり、お二人はスポーツ界で輝かしい監督経歴を持っておられますが、単に野球やラグビーのトップレベルの専門家であるだけでなく、人間研究者としても超一流の見識と経験を発揮されてきたのだと感じます。

 怖い監督や先輩のもと、厳しい練習をひたすらこなすことで競技の技術・体力・精神力を鍛える昭和の体育会経験者の私としては、当時の多くのスポーツチームの状況を理解することができます。いわゆる「俺についてこい」型を高いレベルで経験されたお二人が、さらに強くなるために「各自が自律的に考え、仲間と助け合いながら、自ら学習、成長する」型の指導方法に進化させたことは、ものすごい勉強家であり、それを実行する力を身につけた努力家なのだと感じます。

 どのように強いチームを作るのか。このわずか8ページの記事だけではわからないことがたくさんあるので、岩出氏の著書を冬休みにゆっくりと読ませてもらいました。なるほど!と感じた点をいくつか紹介していきたいと思います。

 「ここ一番」で最大のパフォーマンスを発揮するには人間力が鍛えられているかどうかがポイントになるとのこと。岩出氏は人間力を①人の気持ちがわかる共感性、②人に支えられているという自覚からくる感謝力、③人の役に立ちたいと思う貢献意欲、という3つの要件で定義しています。この3つが強い選手は自分自身のメンタルコントロールができ、逆境においても実力を100%発揮し、仲間にも行動を促すことができると言います。

 まず共感性を磨くには普段から対話を重視したコミュニケーションが大切。意思疎通を円滑に行なうには、正しく伝える能力と傾聴能力が必要です。正しく伝えるにはまず自分の意見をしっかり持つことが重要だが、そのために情報を収集し、分析整理して、その上で論理を構成し熱意をもって伝え、最終的にその内容に責任を持つ胆力が必要といいます。そして情報伝達・判断を正確に迅速に行なうにはSBARという手法が有効だとしています。

S=Situation。現在の客観的状況を伝える

B=Background。背景や経過を説明する。

A=Assessment。報告者の評価、問題と考えること

R=Recommendation。報告者の提案、依頼、考える解決方法。

特にAとR、つまり報告者自身が現状の問題点とそれに対する提案や解決方法を伝えることが、チームとしての動きを早くし、チームワークの向上につながるといいます。

 次に感謝力を高める方法ですが、その第一は毎日の練習の最後にありがとうを周囲のメンバーに伝える習慣を作ることだそうです。また日々の活動を支えてくれている家族やスタッフに感謝を伝える機会を設けること。さらには被災地や福祉施設でボランティア活動を行なって、普段の当たり前がいかに恵まれた環境であるかを体感する機会を活動の一環として行なっているとのことです。

 3つめの貢献意欲を高めるための手法は、チームの目標を共有し、その全体目標達成のために各自の小さな目標を定め、その一人一人の小さな目標が全体目標にどのように貢献しているかを各自が認識を深くする。そして本日の行動がどれだけ小さな目標達成に近づいたかを振り返り、その小さな進歩が全体に対する貢献であることの理解を日々深める。

 このように見てみると、普段の私たちの朝礼や終礼も同じ目的で行なっているのだなと理解を新たにすべきだなと思います。しかし効果や成果に結びつけるところまで深堀しているかどうか、向上させていくにはどうしたらいいかを考え、実践し、逆境でも最大の力を発揮できるように自分とチーム(会社)を磨いていく一年にしていきましょう。

関連記事

  1. 日本国民として天皇陛下と皇室について考える

  2. 理念手帳とみなさんの感想

  3. バレンタイン

    気くばり・目くばり・心くばり そしてテキパキ

  4. 紅葉

    輝きを増す 後藤田五訓

  5. ハードトレーニングはダサい?

  6. 年金

    私の将来、私の老後