昨年11月、東京丸の内のメゾンカカオ様にダイヤモンドHDを導入していただきました。
2月6日放送の「カンブリア宮殿」でメゾンカカオと社長の石原紳伍さんが採りあげられていました。2018年に鎌倉の「チョコレートバンク」で初めて当社のショーケースを導入いただいたのですが、恥ずかしながら、この番組を見て初めてどういう会社さんなのか、どういう経営者さんなのかを知りました。たいへん興味深く、何度も見直しました。
その理由の第一は、石原氏が帝京大学ラグビー部のOBで、前回の社長通信で書かせてもらった岩出監督の薫陶を受けていたことです。ラグビー部での活動が、現在のメゾンカカオの経営に反映しているのかを深く知りたかったからです。
石原氏は中高生時代、大阪では知名度の高いラガーマンだったそうです。さらにラグビーを極めるために帝京大学ラグビー部に入部し、猛練習を重ねて、いよいよ4年生でレギュラー獲得が目前のところまで迫ってきました。その時に岩出監督から「学生コーチ」への就任を打診されたそうです。華々しくピッチを駆ける選手としてではなく、チームを支える裏方の役目を担ってほしいということです。レギュラーを目指してきた石原氏としてはつらいオファーだったと思います。選手を諦めるというネガティブにとらえても不思議ではありません。
すごいなあと感じるのは、その状況をご両親に打ち明けたところ「チームが日本一になるために、できることは何でもやりなさい」というアドバイスをもらい、おそらく悩んだ末でしょう、岩出監督に「覚悟ができました」と学生コーチの役割を引き受け、それに全力で立ち向かったことです。
岩出監督が、いわゆる「昭和の体育会」のスタイルでは強くなれないと、チームのありかたを大転換するまさにその時です。4年生が掃除や洗濯といった「雑用」を担い、下級生はその分の時間を体づくりに当て、チームづくりの方法を変えていくわけです。そして数年後には先日まで日本代表として活躍した堀江翔太選手などを中心として、大学ラグビーの常勝チームとなっていくのです。それを陰で支えた中心の一人がが石原氏でした。
石原氏は、ラグビーは自己犠牲を学べるスポーツだといいます。一番しんどいことをどれだけ率先してやれるか、人のためにどれだけ時間を使えるか。そういう考え方が現在の帝京大学ラグビー部にも、メゾンカカオにもいきわたっていることが、強いラグビー部、優秀な企業であることの大きな要因になっていると思うのです。
メゾンカカオの最初のお店は「cacao」という店名だったそうです。石原氏がカカオ豆を仕入れているコロンビアの農園のオーナーが、石原氏の仕事に対する情熱に触れて「シンジはわれわれの家族だ」という言葉に感銘し、店名(社名も)に「家族」という意味の「maison」を付け加えたそうです。お互いが助け合い、一人一人の成長と家族(会社)の成功という目標を共有していく。石原氏の目指す家族像、企業像が見えてきます。
またメゾンカカオでは現場の最前線の社員さんが原材料の生産者を訪れ、その声や思いを聴くツアーを100回以上重ねているとのことです。その思いを知ることで、中途半端な売り方はできないと感じ、自分たちはこのような人たちに支えられて仕事ができているという感謝の思いを感じずにはいられなくなるそうです。
私たちもすばらしいユーザーさんに恵まれていることに感謝したいですね。