MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

仮説と検証

かぼちゃ

みなさん、コーヒーはお好きですか?インスタント派ですか?レギュラー派ですか?レギュラー派だったら、どんな味わいが好きですか?苦味がほどよい南米派ですか?酸味が特徴のアフリカ派ですか?豆はお店で挽いてもらいますか?自宅にミルがありますか?

 最近は町中に珈琲豆の焙煎屋さんがどんどん増えていますね。多くの豆の種類の煎り方を変えてそれぞれのおいしさを探り出し、苦味と酸味のバランスを考えながらブレンドしたり、それぞれに焙煎士の腕やセンスが表現されています。色はこげ茶ばかりで地味ではありますが、それぞれに豆の形や大きさ、色つやなど実に表情豊かです。何百、何千とおりの組み合わせの中から「これぞ」というこだわりの味わいを探求する姿勢はパティシエさんがおいしいケーキを開発するそれと共通する職人の気概を感じるのは私だけではないと思います。

 今更ですが、昨今のケーキ屋さんはどこもそれぞれのおいしさを追求していますから、かつてのような「おいしくないお菓子屋」は存在しなくなりました。おいしいお菓子の売れ行きを決する要因は多々ありますが、ショーケースを上手に使って商品の魅力をビジュアルで伝える、という点が大きく影響しています。そのあたりを必死に考えて形にしてきた私たちの力は思う以上にユーザーさんの商売繁盛にお役に立っていると感じています。

 たとえこげ茶一色の地味な色彩の珈琲豆という商品でも、そこに込められた焙煎士の思いやおいしさへのこだわりを、売場空間を通じてお客様に積極的に伝えることは今後絶対必要になるだろう、という仮説を立てました。私たちの今までの経験から、必然に導き出せる仮説です。その仮説を基に工場のみなさんの力を借りて珈琲豆用のショーケースの開発を手掛けたのが3年ほどまえだったでしょうか。その後、展示会に出展し、営業活動にも力を入れ、今まで3台ほどの納入実績を作ってきましたが、十分な手ごたえというレベルには届いていません。

 今月上旬にK珈琲さんという焙煎屋さんからお問い合わせをいただき、さっそくお話を伺いに行ってきました。神社の参道沿いのカフェはコロナ前までは大繁盛でしたが、コロナで完全ストップがかかり、急いで商業施設に出店したお店は作りが中途半端で期待どおりにはいっていないとのこと。このたび駅近くの商業施設から打診をもらい、今回は満足のいく店づくりをして臨もうとネットで調査をしていたら当社のコーヒーシューターのページに出会ってご連絡をいただいたとのことでした。オーナーのお話では、今後の焙煎屋はイートインよりもむしろ物販に力を入れるべきで、自分好みの豆を定期的に購入してくれるようになったら、贈答品として使ってもらうようにしていくのが目標だとのこと。コロナ前の参道沿いの本店では、店内の商品陳列に少しの工夫を加えることで商品の売れ行きに変化を起こすことを経験されているので、今回の店舗の方向性の主張には説得力があります。

 まさに私たちが最初に立てた「仮説」と一致した焙煎屋さんにやっと巡り合った感じです。そしてこの商談を「検証」するためにも成約して前進させていきたいと思います。次世代の珈琲焙煎屋の先行事例となっていくのか、あるいは単にちょっと変わった考え方の焙煎士とケース屋の自己満足なのか。結論はまだ誰にもわかりませんが、今は前者であることを信じて、精一杯取り組んでいきたいと思います。

 新たな業界で売場改革の先駆けとなれれば、私たちの仕事の価値も大きく変化して大きくなっていくことになります。

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