MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

いい仕事をするには

掃除

しばらく前の話なのですが・・・。

朝、少し早めに出勤して、工場内をチェックするのですが、一階の男子トイレがとても汚かった日がありました。

朝礼後15分の環境整備を毎日行なっているはずなので、普通だったらここまで汚れている状態はあまりありません。

15分間という時間があり、道具がそろっており、しかもやり方まで写真入りの解説が壁に貼ってあるのですから、掃除ができない理由はありません。

 その月の担当者は分担表から明らかですから、その人に「きちんとやりなさい」と注意するのは簡単ですが、小学生を指導するわけではないので、どうしたものかと思いましたが、しばらくトイレ掃除してないし自分で動くことにしました。小便器は毎日洗わないとすぐにニオイの元になります。

ウォシュレット便器はフタの隙間などにホコリがたまります。床も放っておくと隅のほうはホコリで真っ黒になります。手洗いはカランの金属部がくすみ、白いハンドルが黒くなっています。

これらをそこそこきれいにするには、なかなかのエネルギーが必要でしたが、なんとか「きったなくて使いたくねえ」状態からは脱却することができたように思いました。

 ここで気になったのは、先ほどまでの状態のトイレを、商品を引き立たせる役割を持つショーケースを作る人たちが毎日使い続けていたことです。

ニオイが漂ってくるような便器で何も感じることなく普通に用を足していたのだろうか。ホコリで汚れた個室に平気でこもっていたのだろうか。見た目の美しさだとか、バリでお客さんの手を傷つけたりしないだろうか、と考えて製作することができるのだろうかと不安になります。

作業現場の5Sもさることながら、生活に密着する場面で無頓着な人が繊細な技術を求められる仕事をお客様の評価をいただけるレベルまで持っていけるのだろうか、ということです。

できれば「このトイレの状態は汚い、おかしい、掃除されていない、使いたくない」というような意見や指摘が出てきて「ちゃんとやろうよ」という相互作用が出てくるといいのですが、なかなかそういうことは言いにくいのも事実だろうし、高いハードルかもしれません。

 その朝の環境整備の時間に、トイレ清掃担当者が私のところまで走ってきて「男子トイレを掃除してくれたのは社長ですか?」と言葉をかけてきました。しばらく様子を見て、また汚れてくるようであれば、しっかり注意をしないといけないなと思っていましたが、担当していたA君は、しっかりと気づいてくれました。

はっきり言って、手を抜いて掃除をしていたことにはがっかりでしたが、昨日の状態と今朝の状態が違っていたことに気づいたこと、それを伝えに来てくれたことはうれしく思いました。

その時にA君に伝えたのは、トイレの環境整備のようなちょっと見、仕事に直接関係無いように思えることをきちんとできない人が、他の人が一目置くようないい仕事ができるわけがない。普通の人が汚いとか不快と感じる環境に慣れてしまった人が、人の心を動かせる仕事などできるわけがない。増してや悪い環境に仲間を慣れさせてしまうことになれば、社内全体のレベルを低下させることにもなってしまう。環境整備に自然と力が入るようになれば、自然と仕事のレベルも上がる。今、君がきれいになっていた状態に気づき、私に話をしに来てくれたことは、まだまだ感性が鈍っていない証拠だよ。その感性をしっかり磨けば、きっともっといい仕事ができるよ。がんばれ、と。

環境整備は自らの感性を育てることをお忘れなく。

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