5月上旬に中国の上海で開催されたベーカリーチャイナという展示会に行ってきました。上海丸菱さんのブースで3台のケースを出展しました。
この展示会は製菓製パンの機械設備、原材料や包装材料に関わる企業が多数出展しており、パン屋さん・お菓子屋さんにとってはまさに何でも見ることのできる総合展示会です。会場は上海の郊外に立地する国際展示場で、その大きさたるや広い敷地の中に展示棟が20棟程度あり、幕張メッセの4~5倍はあるのではないかという規模で、そのすべてのパビリオンを貸し切って行われるものです。その広さにも関わらず、会場はどこも満員の盛況で、エネルギーに満ち溢れています。中国13億人の胃袋を満たすパンと菓子の業界の人たちが来場するわけですから、そうなるのも納得というものです(モバックショーが何と小さく感じることか!)。
わずか2泊3日の滞在でしたが、その都市に身を置くと、その国というか町の雰囲気を肌身で感じることができます。地下鉄の車内では平気で携帯電話で通話しますし(しかも大声で)、動画を見ていてる人は音量を気にしませんし、駅で停車中にまだ乗降が終わっていなくても時間が来れば電車のドアを構わず閉めます。交通量の多い道路では、クルマもバイクもクラクションは鳴らしまくって走っていますし、電動バイクは平気で歩道をけっこうなスピードで走り抜けます。喫煙者が多く、たいていの人は吸殻のポイ捨ては当たり前。展示会場の敷地の中ではマクドナルドを食べ終えた袋や不要なカタログや名刺が散乱していますし、会場内では試食の食べ残しや包装機械の実演での個包装の見本は平気で通路に散らかしてます。混雑する会場通路で肩がぶつかろうがお構いなし。このように書くと「マナーの無いひどい国だ」と感じるでしょう。確かにそう感じる一面はあるのですが、持っているエネルギーというか、勢いやパワーがものすごいのです。
展示会に話を戻しましょう。驚いたことはわれわれの同業である冷蔵ショーケースメーカーのなんと多いこと。K社という巨大メーカーを筆頭に何社あるのか数え切れません。日本国内において一応全国区で商売をしているお菓子専門のメーカーが当社を含めて3社あるわけですから、10倍の人口を有する国では30社程度あってもいいわけですから、そう考えると納得です。
最大手のK社のブースは50台くらい展示されていたでしょうか。人が多すぎてろくに製品を見ることができないほどです。スゴイ活気です。あらゆる形状の対面ケースやオープンケースが様々なお菓子を展示しながら並んでいます。分厚いカタログに掲載されている実物が展示されているようです。購入しようとする人から見れば、好みのタイプの現物を選ぶことができます。この展示手法は私が入社した30年前のモバックショーの展示意図に似ている感じがします。「様々なガラス形状や腰仕上素材がありますから、どうぞお好みの物をお選びくださいね」というメッセージです。30年が経過して、今は一台ごとのオーダーメイドですし、当時の仕上がりと比べるとそれなりに進歩してきたと思います。
10年以上継続的にこの展示会に出展している日本のメーカーのかたに聞くと、中国の食文化の進歩はここ数年で急速に進んでいるそうです。中国のケーキ屋さんもショーケースにオリジナリティを求めてくるのに10年とかからないように思います。そうすると現地のショーケースメーカーも間違いなく生産方法が変わってくるでしょう。国民性も進化するでしょう。その時に私たちがどのような企業であり、製品やサービスを提供できているか。私たちの今後、どのように進化していくかが大きな勝負だと思います。