先日、産経新聞社のジャーナリストで、人口減少問題に警鐘を鳴らしている河合雅司さんのお話を聴く機会がありました。今後、日本の社会がどのように変化していくのか、とても興味のあるお話だったので、その内容をまとめながらお伝えしようと思います。
日本の人口は2013年ころをピークに減少傾向となりました。2018年の出生数は92万人弱、死亡数は136万人、差し引きで44万4千人の減少となったそうです。もうしばらくは急激な人口減少は無いようですが、65歳以上の高齢化率が、2015年に26%程度だったものが2040年には35%と急激に上がります。20年後には3人に1人の割合で高齢者となります(残念ながら私もその頃は十分に後期高齢者の仲間入りです)。先ごろの台風で話題になった都心近くのタワーマンションですが、新しいタワマンがどんどん建てられているのに、周辺の小学校はまったく増えないそうです。すでに少子高齢化は現象として現れています。この先、90歳まで生きる女性の確率は50%、男性は25%、95歳まで生きる女性は25%、男性は9%と高齢者はさらに高齢化し、女性高齢者の独り暮らしがどんどん増え、就職氷河期で正社員にならず厚生年金に加入期間が短い人は、さらに貧しさが付加され、そういう老人たちを人口の50%の生産労働人口が支えるという何とも気の重くなる社会が待っているようです。
政府の対策としては、外国人労働者の受け入れを増やすこと、AIやロボットの技術開発を急ぐこと、高齢者の社会参画を促すこと、女性の活躍を推進することなどを進めているようですが、どれも「決め手」にはならないようです。
ではこのような社会に対してどのように対応していくべきか。高齢者が必要とするマーケットの掘り起し、海外への展開、付加価値の向上、ビジネス自体の転換をますます進めていかなくてはならないとのこと。確かにごもっともですが、どうにもとらえどころがありません。
もう少し現実感に近づけるならば、大量生産・大量販売から少量生産・少量販売に転換する。一人当たりの生産性を向上させる、少人数ビジネスで付加価値を上げる、「なくてはならない特徴」を持つ、50人で10億円から30人で8億円というような縮む進化をする。近づきましたか?イマイチピンと来ませんね。
では私たちはどのように対応策として具体的に手を打っていかなくてはならないでしょうか。ここからは私の意見です。
年金制度はほぼ当てにできないと考えたほうがいいと思います。いずれ受給できるのは75歳からになると予測しなくてはなりません。誰でもわかる計算をすれば、1人の高齢者を生産人口2人で支えなければならないのです。生産人口は自分たちの子供を育てる負担もありますから、高齢者に回せるお金は想像に難くありません。ゆえに75歳、80歳までは自分の面倒は自分でみる覚悟が必要でしょう。そのためには、その年齢になっても働くことのできる健康という資産をしっかり形成しておくことがことのほか重要です。そしてその健康をベースにして、できれば経験や技術などを最前線で活かせる仕事で生産性に貢献する。そこまでいけなくても、若い人の足手まといにならないように、彼らのサポートができるパートナー的存在として支える仕事ができるようにする。そのためには経験や知識をしっかり積み重ね、世代を超えて通用するコミュニケーション能力を磨いておくことも重要でしょう。
よりよい人生を作り上げるためにも、今からでも遅くはありません、健康と人としての能力をトレーニングしていかないといけないのではないでしょうか。