2009年11月1日に2号店として新築オープンした「カフェスイーツムッシュマキノ」が路面店の原点をもとめて、わずか8年余りの期間で3台の冷蔵ショーケースを入替え店舗のイメージを一新した。
PROFILE
住所:大阪府豊中市少路2-10-27
TEL:06-6841-4388
定休日:毎週木曜日
営業時間:10:00~20:00
エントランス入口から売場に向かって下り坂のスロープになっているのだが、天井とのバランスで、入口から見ると、売場までの距離が実際より長く感じられる効果がある。
駐車場に車を停め、正門をくぐると、「視覚のエントランスホール」が売場入口へと導いてくれる。
壁面にはムッシュマキノの歴史、作品、商品への想い、牧野シェフ自身が書いた絵などが額に飾られている。
天井のシャンデリアからの灯りに彩られ、まるで美術館のような趣きでお客様を迎え入れてくれる。
お菓子の味わいは、このエントランスホールに入った瞬間からもうすでに始まっているのだ。
エントランスホールに等間隔に立てられた大理石の柱の上には、ムッシュマキノ:オリジナルギフトの数々が、ケースの中に綺麗にディスプレイされ、夕暮れになると柱からこぼれてくる灯りとともに、来店するお客様の心に強く印象付けられる。
お店に入るとメインケース10尺とアントルメ専用ショーケース5尺にぎっしりとケーキが並んでいる。
ショーケース越しにはパティシエたちのステージである工房が広がり、お客様を迎えてくれる。活気にあふれた工房からは出来立てのケーキがどんどんショーケースの中に並べられていく。
ここではムッシュマキノのコンセプトでもある、お客様の五感すべてに訴えかけ心に印象をきざむお菓子を通して、お客様との縁を大切にしていきたい。
そのような気持ちがひしひしと伝わってくるような売場作りがなされている。
メインであるプティガトーケースは2段の3000mm。
入替前は3段の3000mmで商品数、ボリューム感でお客様を迎えていたが、お客様の求めるものやお客様が売場から感じ取る魅力は常に変化をし続けている。
時代の変化に敏感な牧野シェフは自店のエゴを押し付けるのではなく、お客様のニーズに合わせた 商品や魅せ方を提案するためにわずか8年余りで3台のショーケースを入替えたのだ。
プティガトーのアイテム数は40種と豊富に取り揃えられ、これだけの完成度で平均単価390円は申し分なくリーズナブルである。
2段ケースではあるがステンレスの1列並びトレーに奥の方まで整然と並べられているので、ボリューム感も演出できている。
底板の奥行きを通常より100mm長くとることによって更にこの魅力が倍増している。
庫内に並べるケーキの総個数が抑えられ、補充の手間はかかるが回転が良くなることでお客様には鮮度の良い状態でケーキが提供できるのだ。
技術的に凝りまくったケーキということではないが、一つひとつ丁寧に作られた商品がシンプルなステンレストレーにきちっと並べられることによってお菓子の魅力のみならず店舗の魅力やグレードの高さが伝わってくる。
回転の良い商品を2列それ以外は1列にバランスよく並べられている。
シュークリームやプリンなどの集客商品も並ぶ。
プライスカードも1番手前のケーキを隠すことなくトレーとは独立したスペースに分かりやすく置かれている。
プティガトーケースと平行に隣接された縦型ホールものショーケース。
プティガトーケースよりも腰高を100mm下げることで全高を抑えた。上段には常時10台のデコロール、下段には12台のアントルメが並べられている。
中段には人気商品である「プレミアム濃厚チーズ」(@1,944円)、「早朝のチーズ」(@864)、「しあわせほっぺ」(@864円)、「マカロン」(@200円/5種)がお客様の目線の高さで展開されている。
大理石調のステージ上で魅せることで商品の価値を上げ、そのギャップでプライスがリーズナブルに感じてしまう。
また正面ガラスの角にRをとることで死角が無くプティガトーを選びながらでもアントルメやロールなどの存在がしっかりと視界に入ってくる。
フォーマルギフト商品の魅力を引き立たせるため底板面発光によるライトアップ。
天井からのスポットライトで旬のお薦め商品にスポットを当て、商品の内容もきちんとPOPで謳う。
ゆったりとした空間を贅沢に使うことで お客様がショーケースを覗けば今お薦めの商品が一目で分かり、売上促進の大切な什器である。
開閉は正面からの引き出し式になっているので、お客様の目線でディスプレイが可能である。
背面からのディスプレイだと その都度 正面にまわってバランスを確かめ、微妙なズレをまた後ろにまわって微調整。
最低2人で時間をかけてする作業が1人でも出来るので時短につながる。
見た目の価値感も損なわないデザインである。
ギフトケースの背面壁には棚を設け季節のギフトボックスが華やかにディスプレイされている。
入口側壁面に配置された季節のギフトケース1800mm。
定番ギフトとあえて分けることによって季節のおすすめ感を出している。
冬の季節になるとチョコレート系の「ジャポン」(@1,296円/4個入@1,944円/6個入)、「アダムとイブ」(@972円/ 3個入@3,240円/10個入)、「ラ・セーヌ・ドゥ・パリ」(@1,728円/ 5個入@3,456円/10個入)、「セゾンオフリール」(@1,728円/7種類)。
前面引き出し式になっていてディスプレイが容易に行える。
入口を入って右壁面には手土産ギフトコーナーを展開。
平台と可変式棚を上手に使い商品とのバランスをとりながらディスプレイされている。
クッキーなどの小袋も高さを使って華やかさを演じている。
売場のセンターではクロスを掛けたテーブルに焼き菓子やゼリーのばら売り商品がきれいに並べられている。
ブランドイメージをより上げるためメインケースの腰にはムッシュマキノのロゴデザインが彫り込まれている。
クオリティーの高いケーキをより引き立てるためシンプルにステンレストレーを整然と敷き詰めた庫内。
自分たちの作るケーキはこれだ!魅せ方はこれがうちのスタイルだ!さあ買ってください!では今の時代にはそぐわないと感じた牧野シェフ。時の変化やお客様のニーズに合わせて順応し更にムッシュマキノのセンスをプラスして冷蔵ショーケースを一新した。
「うちの売場提案はこれが1番良いんだ」、「まだ十分使えるから」、「いま売上が良くないから」と既存のままの店舗は益々業績が悪くなるのだとおっしゃる牧野シェフ。 時代の流れに即対応しわずか8年余りのスパンでショーケースの入替を実行される牧野シェフの判断力が今日のムッシュマキノの繁栄を永続させているのである。