MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

高校生とJリーガーと私たち

 いきなりサッカーの話で恐縮ですが、昨年J2で優勝した町田ゼルビアが、今年はJ1昇格初年度にもかかわらず優勝争いをしています。ゼルビアの監督は黒田剛さんといい、ついこの間までは青森山田高校サッカー部の監督を務めていたかたです。就任前は、強豪校とはいえ高校の監督がJリーグで結果を作るのは相当むずかしいだろう、などと冷ややかな意見が多かったようですが、フタを開ければ、初年度はJ2でぶっちぎりの優勝。そして2年目である今年の快進撃もご承知のとおりです。

 その黒田氏が本年9月に「勝つ、ではなく、負けない」という本を上梓されました。さっそく興味深く読ませていただきました。普段から私たちが仕事の中でこうありたいと考えていることとの共通点がたくさんありました。日本のトップレベルのチームスポーツと私たちのような中小企業でも根本は非常に似通ったものなんだなあ、というのが私の率直な感想です。なるほどなあ、と共感したところをいくつか紹介したいと思います。

「継続と習慣の決定的な違いを理解する」

継続は意識的だが、習慣は無意識に行なうことができる。そのためには、よい思考や行動をし、それを意識的に継続することで良い習慣として身につけることができる。その出発点となる「よい思考」とは、①原因は必ず自分にある、②評価は他人がするものである、③自分はまだ評価に値しない、というように考え方の矢印が自分に向いているかどうかが特に重要である。失敗した時や周囲の期待に応えられなかったときに他人のせいにするような思考では話にならないと述べています。今月のグループ朝礼の設問の中に失敗への向き合い方がありました。自分の失敗が原因で使うことができなくなった部材は見たくない、という回答がありましたが、そういうのは誰もが経験していることだと思います。それでもそれをしっかり記憶に留めて矢印を自分に向け、再発防止につなげることが、よき習慣へつながることだと思います。

「育成は根本的な教育抜きには語れない」

人としての土台がしっかりしていないと、成功は極めてむずかしい、とも表現されています。その土台とは、①人の話を敬意を持って聞くことができる、②周囲に流されることなく正しい信念を持って頑張れる、③人の心をよく理解し行動できる、④自分のウィークポイントと向き合い克服できる、などを挙げています。サッカーの技術が人より高いと言われる選手でも、そんな差はたかが知れており、つぶれていった選手をたくさん見てきた。アスリートの能力を高めるのは①から④のような基礎的な要素が重要なのである。

「成長する人としない人とのちがい」

成長する選手の共通点は、①スキル技術面の高さ(人より多い練習量)、②メンタルの強さ(勝ちに行くという忍耐力、闘争心、犠牲心)、③人間力の高さ(人の話を誠実に聞き、素直に理解する)、という3項目を挙げています。特に②③は通常はなかなか見えてこない。強い相手に対し何もできない時や劣勢で精神的に追い詰められた時に、問題を人のせいにしたり弱音を吐いたり諦めたりせず、苦しいときほど率先して行動を起こせる人間力の違いが成長への大きな差となる。

 黒田氏は高校生もJリーガーも基本は変わらないと言います。Jリーガーも私たちも報酬をいただくプロとして基本は同じです。その基本を再確認していきたいと思います。

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