MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

秩序とルール

ロボット

 先日の理念と経営の設問で野村監督の記事から「チームプレーと秩序・ルール」の関係性と当社の長所と短所について考えてもらうものがありました。

 多くが「細かいことでしばらない自主性重視」という長所と「ルールや決め事に対してゆるゆるに甘い」という短所を指摘されていました。まさに自主性と規律の甘さは表裏一体であると感じます。特に私たちの仕事は1台ごとに仕様が異なる製品を正確に作らなければならず、高品質を目指すには詳細に関しての担当者の適切な判断や気くばりが欠かせない要素となります。このような条件下で「高品質」という目標を実現するための「秩序とルール」はどうあるべきなのでしょうか。

 私が駆け出しの頃、もう30年以上も前のことですが、こんなことがありました。当時、私が営業としてある会社を担当した時のお話です。その会社の看板商品は、当時から地元銘菓として大ヒットしており、知名度も抜群でした。経営はすでに2代目社長が担っており、強力なリーダーシップで会社を率いて、出店や改装にも積極的で業容も拡大していったと記憶しています。

 改装オープンを間近に控えた店舗では開店準備に本部の店舗開発や企画のメンバーが忙しく動く中、私も店内でショーケースの最後の確認作業をしていました。その日は社長と営業責任者である社長の奥様が店舗の最終チェックに来るとのことで、店内はちょっとした緊張感がありました。そんな中で店舗開発部長が大きな声で全員に指示を出しました。「客がどう感じようが関係ない!とにかく社長と奥さんから文句をいわれないような売場に仕上げろ!」。笑いを誘って場を和ますジョークではありません。ある種の悲壮感すら感じられる指示でした。今でも忘れられない場面です(これは私の創作ではなく30年前に経験しびっくりした本当の事実です)。

 社長はカラダはでかいし、奥さんは厳しく、両名ともめちゃおっかないので現場のメンバーはビクビクして視線を合わさないようにうつむき加減で、社長に大声でダメ出しを受ければ、担当者は泣きそうな表情で修正を懸命にする、そんな現場でした。

 残念ながらその会社は今は存在しません。現場の目線がお客様の方向を向いていない会社の悲しい結末だと思います。幸いだったのは、看板商品だった銘菓を引き継いでくれる会社があったことで、多くの社員さんがこの会社に再雇用されたことでした。そして今でもこちらの会社に当社の製品が採用されていることはとてもありがたいことです。

 最近は「カスハラ」という言葉もあるくらいですから、お客様は決して神様ではありません。しかし自社の商品をお買い上げいただくかたの満足をいかに高めるかに、それぞれの現場に臨むひとりひとりが、考え、最良の判断をし、周りと協力しつつ生き生きと行動することが必要です。そしてこれはトップが社員に強制してできるほど易しいものではないのです。

 「楽」なほうを選ぶのは動物の本能です。これに少しでも抵抗して、理想を目指していくのは本当にたいへんです。でもこの社会で心豊かに生きていこうとすれば、人としての秩序とルールを守り、理念の実現に向かうならば、会社の秩序とルールを守っていこうとするエネルギーが必要です。決して楽なことではありません。しかしそこで甘えてしまえば、仕事をつまらなくしてしまうばかりか、最悪の場合は企業の存続すら危うくしてしまうのです。もう一度「理念手帳」をめくり、秩序とルールを重視し、相談してよい知恵を生んでいける雰囲気を作っていきましょう。

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